外科医が、『皮膚を切開する』という事
すべての研修医、医学生に送る。
外科手術には、皮膚を切開する場面が、必ずある。指導されたことは、
- 決まったパターンの手術では、解剖をよく確認しておく。
- よく切れるメスで、力を抜いて、撫でる様に切る。
- 皮膚に垂直に切る。
- ある厚さまで切ると、自然に皮下脂肪組織が弾ける様に見えてくる。
- その時、血管があれば、どちらに寄せることができそうか、考えながら、神経・血管の脇を切る。
- 切らなければ開けない位置にある血管は、最小限となる様にし、断端はきちんと止血する。
- その組織内に神経や血管がどこあるかわからない場合、ぺアン・ハサミ・筋鈎などで分けて行き、筋膜や骨膜に達する。
- 筋肉の中は、できるだけ繊維方向に裂く様にし、出血点は、細かく止める。
- 応用篇であるが、主に絞扼性神経障害の時、慣れてくると、癒着はメスで、剥離したほうが楽になってくる。
- 柔らかい正常な神経の部分はメスの歯を押し当てただけでは切れない、硬い瘢痕部分だけ切れるからである。
- 決まったパターンの手術でない場合、手足の外傷の場合、元からある傷を利用して、切開することを考える。
- 血流を、見ながら、壊死しそうか、皮弁の知識を使い方ながら、最小減とする様に、努力する。
注意したいのは、見えていないところは、切らない事。これは、内視鏡手術で鉗子を使う時も、同じであろう。色々裁判沙汰になった話を聞いている。